猫好きダイアリー

no cat no life

恐れと怒り。


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「この人は嘘をついているかもしれない」

「何か隠し事をされているかもしれない」

 

そう、誰かに対して思うとき、

ほとんどの場合良くない状況を思い浮かべるんじゃないだろうか。

 

「それは何かやましいことがあるから言えないんだ」

 もしくは

「自分が信頼されていないからだ」

と思うこともあるかもしれない。

 

私たちは傷つくことを恐れて、

裏切られることを恐れて、

その恐れから相手を傷つけてしまうこともある。

 

でも、

愛ゆえに、言えないと思うこと、

愛ゆえに、言い出しにくいと思うこと、

そんな時もあるかもしれない。

 

それは、

相手が自分に向けている信頼を裏切ってしまうかもしれないとか、

言うことで相手を傷つけてしまうかもしれないとか、

そういう恐れもあるからだと思う。

 

わかりあいたくて、

つながりたくて、

 

けれど、

 

わかりあいたいからこそ、

つながりたいからこそ、

恐れが生まれることもあると思う。

 

 

今日は月曜日だったこともあり、映画を見に行きました。

「怒り」という、吉田修一さん原作の映画です。

 

もともと、この監督の「悪人」という映画がものすごく印象的だったこともあるし、

綾野剛が好きなこともあるし、

これは見にいこうと思っていました。

 

中身は、想像以上の内容で、

年齢制限が12歳ということだったけど、

私が親だったら、一緒に観たくないし、子供には見せたくないような内容でした。

 

主に3つのストーリーが絡み合い、

その中心に据えられるのが、

「あの殺人事件の犯人は誰だ??」

というもの。

 

整形をしながら、逃げている殺人犯。 

身元不明の人物が現れる、それぞれのストーリー。

 

見ながら、私たち観客も、

この人か?

それともこの人?

え、もしかして??

と思わされる構成になっています。

 

どうしてなのか、人間の本能なのか、

わからないけれど……

「信じますよ、あなたがオープンにしてくれたら」

という態度が、人にはあるような気がしました。

 

いや、信じる信じないに関わらず、いろんなところで、そういうゲームを続けているというか。

どこか、私たちは根源的に恐れを抱えているのだと思えました。

信頼していたのに裏切られたら怒りに変わる。

そんな経験は私にもあります。

 

こんなこと書いていいのかわからないけど(笑)人を殺したいと思ったことも、あります。

 

え、でも、ある方が普通だと思ってるんだけど、私がおかしいのかな……。

 

もちろん未だかつて誰も殺してないし、私は超安全運転で生きてますよ!

 

「普通の顔してるやつが殺すんだ」

と、映画の中でも言ってたけど、そうだと思う。

 

何も特別なことじゃない。

日常の中にそれがある。

 

だって日々の中に、日常の中に、絶望はあるのだもの。

 

その時に相手を殺すのか、自分を殺すのか、

どちらに向くのかはその時次第。。

 

 

話がそれましたが、

映画を見ていて思ったことは、

裏切られるかもしれなくても、

傷つくかもしれなくても、

もしそれが一方的な疑心暗鬼で相手を疑ったなら、

もしそれが思い込みに過ぎなかったなら、

「どうして信じてあげられなかったのだろう」

という思いは、

裏切られるよりもずっとずっと、

もしかしたら苦しいのかもしれないということでした。

 

傷つけられたと、

裏切られたと、

被害者の顔で生きて行くほうが、楽かもしれないのだから。

 

そもそも相手を信じてない自分がいるから、

そう見える現実があったり、

そもそもやましい気持ちがあるから、

そう見える現実があったり、

一体物事はどこから始まっているのだろう。

 

「怒り」は、そもそも、私が一人で抱え始めたものなんだろうか???

なんてことを、思ったりした。

 

映画館に行く前に、インスタグラムを見ていたら、

美味しいお店や楽しい出来事のオンパレードで、

リア充まみれで息苦しくなって(笑)

 

そんな感情の後にこの映画を見たものだから、

やっぱり私は、活字を通して読み物や物語に触れるとしたら、

その中にある心の機微に触れられるものにしたい……と思ったのでした。

 

ほんとうはネタバレ満載なブログにしようかと思いましたが、やめました。

 

渡辺謙さんが、めっちゃくちゃかっこ良かったです。

それとメインキャストではないですが、池脇千鶴さんもすごく良かった。

ASAYANのリハウスオーディションから見てますから、いい女優さんになったなあとしんみりします。

 

犯人がわかっていく後半は、鳥肌が立ちました。

 

すごーく重いお話ですが、重い話が苦手でなければ、ぜひ見て欲しい作品です。

 

 

怒り

怒り